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なっていることがわかる。また、港湾斜面都市では乗降客数の項目値も高くなっており、フェリーターミナルとしての特性が表れている。
さらに、港湾取扱貨物量の推移をFig.4に示す。これによると、外貿・内貿取扱貨物量において双方が同等の伸びを示しているものの、港湾斜面都市は港湾都市よりも伸び率が下回っている。また、自舵取扱貨物量においては港湾斜面都市で緩やかな増加を示しているのに対し、港湾都市で近年急激に増加していることがわかる。このように、物流を中心としてきた港湾都市がフェリーターミナルの機能を持ち始めており、運輸省港湾局の策定した「21世紀への港湾」に向けて着々と整備が進められていることがうかがえられる。
つぎに「臨港地区」指標での比較をFig.5に示す。港湾斜面都市は1つの評価項口すべてにおいて、港湾都市よりも低い項目値になっていることがわかる。とくに、石炭や鉱石などの大量バラ積貨物を取り扱う特殊貨物港区、景観整備などを図る修景厚生港区において低くなっている。
これにより、港湾機能の特性として、港湾都市は物流や石油等の備蓄拠点として機能しており、大型船舶による大量輸送化や港湾施設の大規模化といった近代的港湾整備が進んでいる。一方、港湾斜面都市では旅客交通拠点として機能しており、人流を中心とした港湾としての特徴を有していることがわかる。しかし、港湾都市においてはフェリーターミナルの機能を次第に持ち始めてきていることから、今後、港湾斜面都市では港湾機能を維持しながら港湾空間の町編が求められることが推察される。

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Fig.2 Comparison with harbor function indexes

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Fig.3 Comparison with terminal indexes

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Fig.4 Transition of harbor cargo-handling quantity

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Fig.5 Comparison with harbor district indexes

5−2.都市機能の特性把握
都市指標においては、指標平均得点に特徴な「土地利用」「社会基盤」について考察する。
「土地利用」指標での比較をFig.6に示す。ここで最も顕著差をみせているのは可住地面積であり、港湾斜面都市における可住地の狭小さがうかがえる。これは山に囲まれた地形的な制約から平坦地が狭小となり、市街地の拡がりに大きく影響していることがうかがえられる。
「社会基盤」指標での比較をFig.7に示す。これによると、港湾斜面都市はすべての項目において港湾都市より低い項目直を示しており、とくに顕著なのは乗用車保有台数である。これは斜面市街地の狭隘道路や階段逆路によるもので、項目値の声となって表れていることがわかる。また、平坦地が狭小であり広大な面積を確保することが困難であることか

 

 

 

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